★★ 『THE けむ子 RETURNS』 (その3) ★★
2007-01-18 23:08

”今からでも働きますっ!頑張りますっ!マジ働かせて下さいっ!!お願いしますっ!!!”
その日の午後三時、けむ子はパチスロ屋の前でティッシュを配ってました。
”結局、ティッシュかぁ。。。”
それでも、久しぶりに制服というものを着たけむ子は、心が躍ってました。
ミニスカートが今時期には寒いですが、大好きなピンク色の制服。我ながらカワイイです。
”オネガイシマース!オネガイシマース!”
制服が男性の目にも良かったのか、オヤジに声を掛けられたりもしました。
”おう、そこのかわいいネーチャン、この店は出るんかよぉおりゃあああ。”
”デマスヨー♪オネガイシマース!”
カワイイとか言われて、素直に嬉しかったけむ子です。
店から出てきたオヤジとかにも
”おねぇさんカワイイねぇ。今度、飲みつき合ってよ。”
”オネガイシマース!オネガイシマース!”
けむ子はだんだん調子にノッてきました。
更には如何にもアキバ系って感じのオタクに
”あのぉ、写真撮らせていただいてもいいですかぁ。”と言われ
”コンナカンジデイイデスカー♪♪♪”
と、ティッシュ片手にポーズをとったりしました。
けむ子はまるでアイドルに成った様な気分です。
”オネガイシマース!オネガイシマース!!オネガイシマース!!!”
けむ子の強力なオーラに、パチスロ屋はあっという間に満員になりました。
凄い集客力です。店長が慌てて飛んできました。
”おう、オマエやるじゃねーか。もうティッシュはいいから、次は掃除してくれ。”
もう少しアイドルしたかったけむ子でしたが、お金の為なら文句は言えません。
ほうき&ちりとりでササっと掃除し、ホースで水を撒き始めました。
けむ子はフと昨日の倒れそうだった夜を思い出し、
”もう一生、パチスロ屋でいいなあああ。。。”
と、普通の女子では全く有り得ない理想形を見出してました。
その時です。けむ子に幼い坊やが近付いてきました。
”ママァ。。ママァ。。ママァ。。。”
涙ボロボロの坊やに、けむ子はビックリしました。
”どうしたの?”
”ママァ。。。ママァーっ!ママァーっ!!!!!”
坊やはけむ子にすがり付き、大声で泣き始めました。
明らかに迷子です。
”ママは?どこに居たの?名前は?”
”ママァーっ!!!!!!!!!!!!”
坊やはシャウトしました。通行人の大注目を浴びたけむ子です。
”あっ、あっ、あっ”
けむ子はホースを投げ捨て!坊やを抱えてスクランブル交差点を渡り!渋谷駅前の派出所へ向かいました!
超ピンク&超ミニスカで坊やをかかえながら突っ走るけむ子の姿に、渋谷の大群衆もビックリです。
”アイツ、なんかスゲーよ!!!”
携帯で撮られまくったけむ子でしたが、そんな事は気にしてられません。
”こっ、こっ、この子、迷子です迷子迷子迷子!!!!!”
派出所で名前や住所を聞かれた後、グッタリ状態でパチスロ屋に向かいました。
”大丈夫かなァァァ。。。”
坊やの事が心配で一杯のけむ子でしたが、パチスロ屋に戻った瞬間、最悪の事態に気付きました!
投げ捨てたホースが、店内に向かってたのです!店内は水浸しです!!
既に10センチ程の池になってました!!!店内の客は
”なんだよ、この水?”
”日本沈没か?笑”
”今までの負けは、水に流せって事か笑”
などと能天気な事を言ってましたが、店長が店の奥から爆走してきました。
”けむ子っ!!!オマエ何してんだっ!!!早く水を止めろーっ!!!”
と走ってきた店長が、途中でスッテンコロリンしてしまいました。
周りの客に水が大量にかかりました。さすがに客も大激怒です。
”なんじゃおりゃあああああ!!!!!”
”どおしてくれんじゃあああ!!!!!”
”ぶっ殺すぞおりゃああああ!!!!!”
”給料上げろぉバッカやろぉ!!!!!”
ひたすら謝る店長が、呆然と立ち尽くしてるけむ子に叫びました。
”クビだクビだーっ!!!とっとと出ていけーっ!!!!!”
”おばあちゃん。。いつもありがとう。。。。。”
”いいのいいの。一杯食べてね。”
心底落ち込んでたけむ子は、地元の定食屋で、ブリの照り焼き定食を食べてました。
”今日。。大失敗しちゃって。。。。”
”又やったんかい?!ホホホホホ。気にせんと気にせんと♪♪♪”
けむ子は備え付けのフリカケを、御飯が見えなくなる程かけて食べました。
”掃除はちゃんとせい!やらんと二度と食べさせんよ。”
”やるよー!いつもやってるよー!”
おばあちゃんは、アパートの隣り部屋に住んでました。
両親に逃げられた事を知ったおばあちゃんが、閉店後の掃除を手伝う事を条件に、夕食を与えてたのです。
食べ終えたけむ子は閉店までの間、店のTVを見てました。
”あっ、エビちゃんだあああ♪♪♪♪♪”
けむ子は、エビちゃんに超あこがれてました。結婚したいぐらい好きでした。
生まれ変わるなら、絶対エビちゃんです。我が永遠のアイドルでした。
少しでもお金があれば、かっぱえびせんを食べてたけむ子です。
そうでない時はベビースターでした。言うなれば妥協だったのです。
”いいなぁぁぁ、あのコート。。。”
エビちゃんがTVで着てたピンクのコートが、目一杯欲しくなったけむ子でした。
”このコート、私のお気に入りなんですよおおお♪20万円出して買いました♪♪♪”
”えええーっ!20万っ!!!!!”
エビちゃんの発言に、思わず叫んだけむ子でした。
”いいなぁぁぁ。欲しいなぁぁぁ。私も欲しいお。。。。。”
けむ子は、そんなエビちゃんを見て思いました。
”目標、ピンクのコートおおおーっ!!!!!”
翌日、けむ子は2つ目の候補、コンビニの面接を受けてました。
”今からでも働きますっ!頑張りますっ!マジ働かせて下さいっ!!お願いしますっ!!!”
次回、その4。。。
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